金継ぎを受け賜っています。お気軽にお問い合わせ下さい。

割れたバカラに、新たな命を吹き込む金継ぎ

大切なバカラのグラスが割れてしまった時、その悲しみは計り知れません。しかし、日本の伝統技法「金継ぎ(きんつぎ)」は、その壊れた破片をただ元に戻すだけでなく、以前よりもさらに美しく、深みのある物語を秘めた芸術品へと生まれ変わらせる力を持っています。
今回ご紹介するのは、割れてしまったバカラのクリスタルグラスを金継ぎで修復し、さらにその継ぎ目に高度な蒔絵(まきえ)を施した例です。


金継ぎは、割れや欠けを漆で接着し、その上から金粉などで装飾する修復技法です。傷跡を隠すのではなく、むしろその傷を「景色」として捉え、その不完全さの中に美を見出します。
漆黒の地に金の唐草蒔絵
ユーザー様の「漆黒の黒地に金で唐草文様の蒔絵を施しました」という言葉通り、このグラスには、漆黒の漆をベースにした蒔絵が施され、透明なクリスタルガラスとの劇的なコントラストが生まれています。
正面の蒔絵デザイン:大胆な唐草と赤いアクセント、グラスの正面に施された蒔絵は、漆黒の地を大胆に使い、その上に金粉で力強い唐草文様が描かれています。唐草は生命力の象徴であり、このグラスが再び蘇った喜びを感じさせます。また、金の唐草の縁には、赤い漆が薄く引かれており(画像2)、金の輝きをより一層引き立てています。
背面の蒔絵デザイン:繊細な唐草と金点の縁取り

一方、グラスの背面(画像1)には、正面とは異なる、より繊細で細かい唐草文様が描かれています。こちらは、より複雑で奥ゆかしい表情を見せ、上部には金の点描による縁取りが施されています(画像3)。この異なるデザインが1つのグラスに共存することで、どの角度から見ても新しい発見があります。
完成したグラスの美しさは、光を浴びて煌めくバカラのクリスタル、その深淵を思わせる漆黒、そして、その上を自在に駆け巡る金の唐草が、見事な調和を見せています。
割れたという過去が、このグラスに新たな価値と独自の美しさを与えました。金継ぎは、単なる修復の枠を超え、時間と記憶、そして不完全ささえも祝福する、アートなのです。

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