Before



After



今回は、長年愛用されてきた特別な急須の修理をご依頼いただきました。
形あるものはいつか壊れてしまうとはいえ、ずっと大切にしてきたお気に入りの茶器が割れてしまったときのショックは計り知れないものです。
「どうしても復活させて、また一緒にお茶の時間を楽しみたい」
そんなお客様の切実な想いに寄り添い、心を込めてお直しさせていただきました。その劇的なBefore・Afterをご紹介します。
🔴 Before:愛用してきた証と、無惨に割れてしまった姿
ご依頼いただいたのは、美しい朱泥(しゅでい)の急須。
長年大切に使われてきたことが一目でわかる、素晴らしい風合いのお品物です。しかし、不慮の事故により、大きく3つの場所が傷ついてしまっていました。
蓋(ふた):見事に2つに真っ二つに割れてしまっています。
取っ手(持ち手):根元の近くからパーツがぽろりと外れてしまいました。
注ぎ口:最も難題だったのがここです。先端が大きく欠けてしまっているだけでなく、割れた破片が残っていない(紛失している)状態でした。
一見すると「もう使えないかもしれない…」と諦めてしまいそうな状態ですが、ここから職人の手によって新しい命を吹き込んでいきます。
🟢 After:金継ぎの美しさと、機能性を追求した完全復活!
じっくりと時間をかけ、丁寧に修復を施した姿がこちらです!
割れてしまった蓋と取っ手は、日本の伝統技法である「金継ぎ(きんつぎ)」でしっかりと繋ぎ合わせました。朱泥の深い赤色に、繊細な金のラインが美しく映え、単なる修理を越えて「新しい景色(味わい)」として生まれ変わっています。
そして、今回の修理で特にこだわったのが「注ぎ口の復元」です。
破片がなかった注ぎ口は、特殊な樹脂を用いて元の滑らかな形状をイチから成形・復元しました。さらに、ただ形を戻すだけでなく、「実際に使ったときに、お茶が気持ちよく注げること」を最優先に考えています。
注ぎ口の角度やエッジの絶妙なラインを微調整することで、注いだ後にポタポタとしずくが垂れない(後引きしない)工夫を施しました。
【動画でチェック】キレ味抜群!生まれ変わった注ぎ口の “湯切れ”
新しく生まれ変わった注ぎ口の「湯切れの良さ」をぜひ動画でご覧ください。
(※ここに動画 ymf_17329.MP4 を配置)
スーッと美しくお湯が流れ、傾きを戻した瞬間にピタッと水滴が止まるのがお分かりいただけると思います。この「気持ちいいほどの湯切れ」こそが、日常使いする急須には欠かせないポイントです。
おわりに
傷跡を隠すのではなく、純金の輝きで包み込んで新たな価値を生み出す「金継ぎ」。
お客様がこれまで急須と共に過ごしてきた時間と、これからも続いていくお茶の時間を、再び繋ぐお手伝いができたことを嬉しく思います。
「割れてしまったけれど、どうしても捨てられない」
そんな大切な器がございましたら、ぜひ一度お気軽にご相談ください。







